都市プランナーの雑読記-その17
呉佩珍・白水紀子・山口守編訳『我的日本 台湾作家が旅した日本』白水社、2019.01
2021年1月8日
大 村 謙二郎
この本についてはその紹介文や題名から、面白そうだと思って衝動買いした、偶然の出会いの本です。この本は、1950年代生まれから1980年代生まれの多様な世代の台湾作家18名が日本について書いた紀行文、日本文化論、私的エッセイなどを束ねたアンソロジー本です。特に統一したテーマがあるわけではありませんが、それでも作家の鋭い感性、描写で日本の風景、文化、日本の習慣が描かれており、こういった形で日本に愛着を持って観察、訪問してくれる作家がいるのだということを知ることが出来て、興味深く読めて、ほっこりした読後感を持てます。衝動買いは正解でした。
私にとって、印象深かったのは次の3作品です。
ホワン・リューチン(1979台北生):いつかあなたが金沢に行くとき
リー・ピンヤオ(1984台北生):母を連れて京都へ行く、ときには叔母さんもいっしょに
ミュ・クオチ(1952台北生):門外漢のみた京都
3番目の「門外漢・・・」は、タイトルとは真逆で、著者の京都の歴史、文化についての深い教養、知識が秘められたディープな京都案内でいろいろ興味深い見所、訪問先が満載のエッセイです。京都をまた訪れ、この作家の紹介してくれたところを巡りたくなります。
台湾は親日的な国とよく言われていますが、その通りで、私も何度も台湾を訪れていますが、たいへん楽しい時を過ごせました。逆に台湾の人に取っても日本がそういう国であったらと思います。いずれの作家の作品も日本に対するやさしさが感じられる作品でした。