「船木倭帆」弁護士小澤英明

船木倭帆(6月)

2018年6月26日
小 澤 英 明

 ガラスの器が好きである。ガラスが好きな人には説明するまでもないが、船木氏は日常生活に使うガラスの器の作家としてきわめて人気が高い。しかし、1935年のお生まれで2013年に亡くなられた。亡くなられる少し前に引退されたが、引退されるまで、毎年、夏になると(ちょうど今くらいの季節に)日本橋の三越で作品展を開かれていた。私がそのことを知ったのは、船木氏の活動の最晩年で、作品展に3回ほど行くことができてわずかながらその作品を購入できたことが今は貴重なことに思える。

 いわゆる吹きガラスというもので、手に取った印象は多少厚いものが多い。写真で示すのが一番だと思うが、この写真は、当事務所で現在飾っているガラス鉢である。シンプルな美しさがあると思う。自宅には、他にいくつか小さな花瓶やグラス類もあり、大切にしている。

 ガラス製品ではラリックのものも好きである。箱根のラリック美術館に行くとその良さがよくわかる。ラリックは1945年に亡くなっているので、現在出回っているラリック製品の多くはラリック工房で大量に生産されたものである。プレス成形で作られるものも多いようで、大量生産がきくのである。ただ、そのデザインは新しいものでも私は好きである。そのラリックのデザインに船木氏のデザインは負けないと思う。

 最近東京のデパートの美術品の展示スペースがのきなみ狭くなったり、廃止されたりして寂しい。作家が手にする金額と売値との間に大きな乖離があると思う。大きなマージンをデパートにとられるのでは、買主もしゃくに思う。私も最近はほとんどデパートで美術品を買わない。売値が高すぎるからである。もっとも売値だけの問題ではない。作品次第で人は集まるものである。船木氏の最晩年のことだから今から10年も前ではないが、当時、船木氏の作品展の初日のファンの熱気はすさまじく、開店時間に出向いたのでは何も買えないくらいだった。田中眞紀子氏がオバサマ方の中にまじって展示された物を熱心に品定めされているのを見かけたことがある。