民法改正(不動産関係)

森泉章+鎌野邦樹「民法入門債権総論」第4版

 

(小澤コメント)
 森泉章+鎌野邦樹「民法入門債権総論」第4版は、2007年に逝去された故青山学院大学名誉教授森泉章先生の「民法入門債権総論」の第3版から鎌野先生が共著者に加わられ、このたび第4版が出版されたものです。第3版の改訂後、今年4月施行の民法改正がありましたので、鎌野先生がその関係部分及びその他のアップデートすべき部分を改訂されたものです。
 鎌野先生の第4版のはしがきに「民法の中でも抽象的で最も難解でわかりにくいといわれる債権総論を、通説・判例の立場をふまえて客観的にかつ簡潔に叙述する目的で執筆されたものである。」とあります。確かに私も学生時代、民法は好きだったのですが、債権総論は、特に多数当事者が出てくるところが難解で敬遠していました。また、実務では詐害行為取消権は使ったことがないのですが、外資系ファンドが不動産を買いあさっていた頃、ファンドから取引が取消されるリスクがないかを聞かれたときに、詐害行為取消権を持ち出したところ、ファンドが非常に気にして、対応するのに苦労したこと、時価であっても不動産の売却が取消しリスクにさらされるなんて馬鹿げていて、何とかならないかなと思ったことを思い出しました。今回の民法改正でこの点が手当てされたことは、この本の146頁に簡潔に説明されています。
 森泉先生と鎌野先生との出会いは、第4版はしがきに記載されていますが、森泉先生は団体法の権威と目された方でした。法人とは何かという問題は、法制度の根本問題です。有限責任の法人を作り放題の現在、とりわけそのように感じます。鎌野先生と森泉先生の深い関係をいつかお聞きしたいと思います。

 

弁護士小澤英明は2017年の民法改正につき、その不動産取引に与える影響について、土地法学会や日本司法書士会連合会等で講演を行ってきました。また、顧問鎌野邦樹は、早稲田大学法科大学院で民法を講義しており、民法改正についても多くの研究成果を発表しています。

民法改正に関する小澤英明の著作

書籍

  • 「企業不動産法(第2版)」 「第6部補論 民法改正が不動産取引に与える影響」

論文

  • 「不動産取引における民法改正の重要論点(上)、(下)」(ビジネス法務2015年2月号128頁以下、2015年3月号120頁)

民法改正に関する顧問鎌野邦樹の主要著作

書籍

  • 『不動産の法律知識』日経文庫、2017年
  • 編著『民法(債権法)改正と不動産取引』日本加除出版、2017年