「オーレ・ヴァンシャ」弁護士小澤英明

オーレ・ヴァンシャ (2018年2月)

2018年2月27日
小 澤 英 明

 好きこそ物の上手なれ、と言うが、世の中にはこれをはっきりとわからせる人がいるもので、趣味でも軽々しく発言はできない。私は、椅子については無知だけど、と前置きをしたいのは、椅子好きには博学の人たちがいるからである。例えば、デンマークの椅子の専門家として名高い織田憲嗣氏の前で、デンマークの椅子のことなど語れない。この人の椅子好きの程度ははかりしれない。古今東西の椅子の名作をイラスト画にするという本も出されている。他にも、島崎信、山内陸平といった錚々たる椅子研究者(愛好家)が日本にはいる。

   椅子を以前から好きだったのは間違いないが、椅子を買う趣味はなかった。やはり、東京に住んでいると自宅が狭く、椅子を必要以上に買うスペースがない。また、名作椅子を買うと高い。この二つの経済的要因で椅子を好きなようには買えないので、名作椅子に関心はあっても見ないようにしてきた。ただ、例えば、宮脇檀の娘さんである宮脇彩さんが書かれた「父の椅子 男の椅子」とかは好きな本で、載せられている宮脇檀の名作椅子コレクションには影響を受けた。おかげで、リビングには「マレンコ」ではないがマレンコに似たイタリア製ソファを買って、もう15年も家族全員が愛用している。

   ところで、今年始めに新事務所を開設するにあたって、思いがけなく、椅子選びを楽しむことができた。私の事務所は、会議室と執務室に分かれるが、会議室のテーブルと椅子は家具店で実際に見て座って購入した。しかし、執務室の机と椅子選びでは遊んでしまった。私と所員と3人の非常勤顧問の計5人の机と椅子をそろえるにあたり、アンティークとかの中古の物で揃えたいなと思った。ネットで見たところ、中古家具の通信販売を行うラフジュ工房というサイトがあることを知った。ここの品揃えがなかなかいいのである。

   机に関しては、デンマークと日本の机に気に入ったのが多かった。机をまず決めたが、問題は椅子である。西村あさひでは、椅子はハーマンミラーのアーロンチェアという贅沢を許されていたが、木製の椅子しか興味がない。ネット上の商品の品揃えを楽しみながら見ていると、すごく気に入ったフォルムの椅子を見つけた。デンマークのオーレ・ヴァンシャのレッド・ブルーチェアである。一目で気に入った。細いマホガニーでできている。ああ、コロニアルチェアとかもほしいな。織田氏はデンマークの椅子デザイナーの中ではフィン・ユールを一押しされているが、オーレ・ヴァンシャもすごくいい。