弁護士小澤英明「通い鳥、オランダ紅、月照」

通い鳥、オランダ紅、月照(2026年3月)

2026年3月12日
小 澤 英 明

 写真は椿三種。左が「通い鳥」、真ん中が「オランダ紅」、右が「月照」。いずれも我が家の庭に3月に咲いたもの。
 「通い鳥」は、写真で見るとおり、かなり美しい。江戸椿で、江戸時代には作出されている。花弁が薄ピンクで、画面をアップするとわかるのだが、血管のような花脈が美しい。また、赤い絞りがところどころに縦に入り、これがアクセントになって美しい。
 「オランダ紅」は、これまた江戸椿で、1739年の本にも載っているようなので、「通い鳥」より古くからある品種のようである。剣弁咲きで花びらの真ん中に白く筋が入るのが特徴である。これをなぜ「オランダ紅」と名づけたのかは不明のようである。お洒落な花の感じが西洋を想起させたのだと思う。椿の花のイメージからはかけ離れている。
 「月照」は、我が家の門から入ったところに植えている白椿。名古屋の椿園という会社の作出による。これは、2月終わりから咲き始めたが、花は練馬の寒さに耐えかねて、凍傷をおこしたように花弁が傷められた。3月になってやっと本来の美しい姿で咲くようになった。白い花弁が少し青みがかっているというか緑がかっているというか。上品な椿である。
 花瓶に生けた椿3種、いずれも背が低く、もっとバランスよく生けろよ、という声が聞こえてきそうだが、そのためには椿の太い枝を切って生けなければならない。それは避けたいので、細い枝に咲いている部分だけ切ると、こういうことになる。
 椿は、3月中旬から下旬が見頃で、4月になると遅咲きの品種が咲き、4月中旬になると花の季節は終わる。同時にフレッシュな新緑の葉がいっせいに開き、これまた美しいのが椿の特徴である。椿の天敵はチャドクガ。幸いなことに、昨年はチャドクガによる被害はなかった。これさえなければ、農薬の散布はまったく不要なので、育てやすい。ただ、北陸のユキツバキ系は関東には向いていないように思うし、冬から椿の開花を楽しもうとしても、冬の寒さが厳しいところでは花弁が霜焼け状態になる。どの品種が良いかはその土地に向くかどうかという問題があるので、育ててみないとよくわからない。ただ、江戸椿はさすがに東京に向いている。
 椿の本や図鑑もいろいろ買ったが、桐野秋豊さん(1927-2015)の「色分け花図鑑 椿」(2005年学習研究社)(写真参照)が好著である。桐野さんは、富山県の中学の理科の先生をされたあと、東京の安達椿研究所の主任研究員などつとめられ、日本ツバキ協会会長にもなられた。この本は、椿への愛情が文章からにじみでている。私は、この本から椿のイロハを教えてもらった。