都市プランナーの雑読記-その108/鈴木崇英『美と自由の都市デザイン』

都市プランナーの雑読記 その108

鈴木崇英『美と自由の都市デザイン』朝日新聞社、2018.01

2026年1月22日
大  村 謙二郎

 東大都市工の1期生で、1969年に設立された都市計画コンサルタント、UG都市設計(現在の名称はUG都市建築)の創業者であり、第一線で都市デザイン、都市開発に関わってきた鈴木さんの著書だ。彼の著作は、はじめて読んだことになる。UG都市設計の報告書は仕事柄、目を通したこともあるが。
 UG都市設計の方々といくつかの都市計画プロジェクトで一緒に仕事をしたこともあり、鈴木さんともいくつかの委員会でご一緒し、その折の発言にいろいろ教えられることがあったが、特に親しくおつきあいしたことはなかった。
 この書は、彼が都市工学科の博士課程に在籍中に仲間と一緒にUG都市設計を立ち上げて以来、数々のプロジェクトに関わってきた状況やコンサルタントとしてオリジナリティあふれる調査、計画づくりをしてきた経緯を-いささか自慢話的要素もあるが、それほど嫌味ではない-を率直に語っている。鈴木さんとその仲間のエネルギッシュな活動ぶり、仕事への情熱、都市デザインのプロとしての矜持がよく描かれている。
 こういった、わたしの履歴書的部分とは別に、いささか、哲学的というか、美と自由というこの本の表題で示されている、彼の都市計画哲学、思想を思弁的に語った部分が随所に挿入されている。
 ちょっと、納得しがたいというか、理解できない部分があるが、鈴木さんが幅広い教養、学智を持った人なのだと、意外な彼の一面を知り、芸術家、アーティストの素養が沢山あり、単なる成功したビジネスマンだけでなかったことを知ることができた。
 またこの書ではプロジェクトをめぐる負の部分やどろどろした部分はあえて、触れないし、また、組織や個人に対する批判的な論述がない点はこの書の美質だと思う。
 民間都市計画事務所黎明期の熱気が伝わり、懐かしさを覚えつつ読んだ。