古書購入(2026年1月)
2026年1月8日
小 澤 英 明
先月、神保町で、正宗白鳥全集、高浜虚子全集、中野孝次全集を買った。買った店は近代文学関係の古書の品揃えでは有名な店。ただし、私はこれまで本はほとんど新刊で買ってばかり。ところが、最近新刊書を扱う書店では欲しい本が絶版になって手に入らないことを何度も経験するようになった。そこで、古本にも手を出そうという気になって、ネットで古書を検索。すると、全集ものが驚くほど安い。今や、ネットで調査すれば、かなり多くの全集ものが出回っている。
最初に欲しいと思ったのは、正宗白鳥。その神保町の店では、ネットによると、福武書店の1983年版30冊揃いが2セット売られていて、6万3800円と5万5000円とあった。帳場に座っておられた奥さんに話しかけた。「ネットで正宗白鳥の全集が出ていたので欲しいのですが、ありますか?」「あると思いますよ。ただ、今日はよくわかっている息子が旅行に出かけていていません。月曜日には帰ってきます。でも、あるはずなので、見てみましょう。」歳のころは70代前半。店の中を見てもすぐに見つからない。そこでショーウィンドウに周られた。「お客さん、ありましたよ! 」の声。私も外に出てショーウィンドウの中を見る。しかし、それは5万5000円のもの。「2セットあって、高い方が、状態が『良好』とあったので、そっちが欲しいんですよ。」「そうですよね、きれいな方がいいですものね。息子がいなくてすみません。」と申し訳なさそうな顔。すると、ご主人登場。状況は把握されたが、見つからない。それから二人で地下の倉庫に降りていかれた。しばらくして「お客さん、ありましたよ、よかったですね。」「すごくきれい。新品みたいですね。」
うれしくなって、追加注文。二人の地下での調査中に高浜虚子全集と中野孝次全集を店の中で確認できたからで、その二つの全集も買いたいと告げた。高浜は18冊揃いで1万7600円、中野は10冊揃いで1万9800円。嘘みたいな安さ。こちらはいずれもネットでは、状態について「並」とあったので、多少の汚れは覚悟。それでも高浜と中野という二人の知性が一生かけて書いたものを、こんなに安く取得していいものか。
「重さで運送費は変わりますからね。」と奥さんは言いながら何度も送料を計算されていた。側に立っていたご主人から、「学校で買われるのですか。」と質問あり。「いや、自分用です。」遊びとも言えず、研究用ともいえす、家の飾りとも言えず、強いて言うと、コレクションという所有欲かもしれない。なんでも鑑定団の玩具専門鑑定士の北原さんが「これは箱が残っているからいいんですよ。」なんて話されていることが少しわかるようになってきた。「全集のコレクターからするとね、本に挟まっている月報がとても大切なんだ。」と言いたくなるからである。私から、「このお店はロケーションが最高ですね。」と言うと、ご主人は、「そうですけど、信用の方が大事です。うちの包装はすごく丁寧とお客さんによく褒められるんですよ。これは本当。今は、店に来てくださる方よりネット注文が多いんです。」そんな話をしているうちに、送料込みの値段が決まった。10万2000円。そもそも安いのに、さらにまけてくれた。
クリスマスの午前中に本が届いた。一冊一冊が箱入りで、その一箱一箱が古新聞で丁寧にくるまれていた。全部で58冊、本棚に並べるのに1時間ほどかかった(写真参照)。
