弁護士小澤英明「東京のビルの中で窓際園芸を楽しむ」

東京のビルの中で窓際園芸を楽しむ(2023年2月)

2023年2月14日
小  澤 英  明

 「こたつ園芸」という言葉があることを中尾真理さんの「イギリス流園芸入門」で知った。寒い冬にこたつで年間の園芸スケジュールを考える楽しみが表現されていて良い言葉だと思った。昨年4月に市政会館の地階から7階に事務所を移転し、冬でも東側からの太陽光に恵まれるようになったので、この冬から「窓際園芸」を始めた。7階の事務所は、東も南も西も全部、窓があり、夏は、朝から夕方まで日光に恵まれるのだが、冬は、南側の国会通りを隔てた富国生命ビルを始めとする高層ビル群に午後からは完全に日光をさえぎられる。ただ、午前11時くらいまでは日差しがあるので、窓際での園芸を始めたという次第。
 こたつ園芸の場合は、種苗業者のカタログを見ながら球根や草花の種を選ぶという楽しみだが、東京は便利すぎて、その最初のところは、すっとばして、花開く少し前の花苗をガーデンセンター購入できる。特に私が贔屓にしているオザキフラワーパーク(練馬区石神井台)の充実度はすごい。地方のガーデンセンターを見てないからだと反論もされそうだが、東京マーケットの力は強く、海外からの珍しい植物もどんどん輸入しているようで、玄人筋にも人気がある。というわけで、私の窓際園芸は、本当は園芸と呼べないものであり、つぼみから花を咲かせるだけのものである。ただ、根を詰めて仕事をした後に、花ガラをつみながら、水をさして、日が当たる場所を考えて鉢を動かすのも楽しいものである。
 写真は、1月25日のものだが、東側の机に日の光が降り注ぐので、そこに鉢を集めたところ。この中で最初に購入したのは、真ん中のピンクのシクラメンで、12月中旬に購入した。今(2月14日)も色は少しあせたが、咲いている。写真ではよく見ないとわからないが、葉には斑(ふ)が入っていて、花もちぢれながらピンクのグラデーションがきれいで、品のいいものである。写真の中で目立っている黄色の花は、リーガースベゴニア。1月に入ってすぐに購入した。この花は、地植えには適さないので鉢物で楽しむべきだが、赤、白、ピンク、黄とあり、いずれも色の鮮やかさが際立っている。しかも、窓際園芸をやってわかったが、花ガラをこまめに取れば、いつまでも鮮やかな花を楽しめて、かなりお得感のある花である。手前の写真で光の加減で濃い山吹色に見えるのはミニバラである。実物は、アプリコット色と言うべきか、実にいい色合いだったので、一目ぼれして購入した。ミニバラも庭植えには適さない。日本の夏は、バラを病虫害からなかなか守れないのである。ミニバラは特に弱い。冬の室内のミニバラは、病虫害の危険がないので長く楽しめる。現在もひとつ蕾があって、来週あたり咲きそう。
 このところ、コロナのせいで、WEB会議が増え、なかなか窓際園芸の成果を人に見てもらう機会がない。先日、市政会館のOさんが、建物が都の文化財に指定されそうだとの知らせをもってきてくれたので、窓際園芸を自慢したところ、「この机の人はどうやって仕事をするんですか。」と冷やかされた。しかし、Oさんも帰ったら、「小澤先生の部屋は、花でいっぱいだったよ。」と言ってくれたに違いない。窓際まで寄ってくれていたら、「この小さな花はプリムラ・ジュリアン」とか「ネモフィラ」とか教えてあげられたのに、残念。